S的?彼氏の思うコト ~平畠 慎太郎side story~

「レーザー推進の事なら、俺が解説しましょうか?」

俺は、自分に納得出来ないまま、聞き覚えのあるその声に再び顔を上げた。
先程の二人の間に入り、馴れ馴れしく肩を抱いている男が一人...。

同じ大学院、前田教授のゼミの柊 太一だ。

俺とは真反対の満面の笑みで、二人を見ている。

「ま、その場合、夜のお楽しみまでフルコースだけどね。」

パチリとウインクする姿に、俺はゲンナリした。

「あ、あの...。」

「ありがとうございました。」

柊の腕をスルリと抜けると、二人は図書館を出て行ってしまった。

「あ~あ。行っちゃった。」

二人の姿を見送ると、ワザらしく肩を落としながら、柊は俺の横に座った。

「お前は...。本当に節操が無いな。」

俺は、またかと言わんばかりに頭を横に振った。

柊は、頭の回転も早く、成績優秀。人とは違う視点からも物事を見る力があり、ゼミでは一目置かれている存在だ。
ただ、プライベートは全体的に軽い。女好きで、楽観的だ。

「平畠、それは違うぞ。俺は『節操が無い』んじゃなくて、『可愛い女の子が好き』なだけだ。」

(それを『節操が無い』と言うんじゃ無いのか?)

俺は、半ば呆れながら溜息をついた。

勉強の面では、柊は非常に興味深いが、プライベートでは、余り関わりたいタイプでは無かった。

「それに、女の子にはもうチョット和やかに話し掛けてあげれば良いのに。それじゃあ、女の子にモテないぞ。」

柊が、意地悪そうな顔で言う。

「別に、不特定多数の女に好かれても迷惑なだけだ。」

俺は、読んでいた雑誌を閉じると、選んだ数冊の本の上に重ねた。