苛立ちがこみ上げてきた私は、誰かに声をかけられる前に塾を後にした。


ただでさえ、学校に来た瞬間に山本君に告白されて憂鬱だったんだよね。




「しーらいし」



家路を歩く途中、間延びした低い声が耳に届いた。


振り向かなくてもわかる。

だって、何度も後ろから声かけられたんだから。


私は、なぜか振り向いてしまったんだ。




「よっ」


「須賀君・・・」


満面の笑みで小さな彼が手を挙げていた。



「何か用?」


自分でも驚くほど冷たい返事だったと思う。