昔の俺ならここでキレてめんどくさくなって、逃げてたと思う。


少しは大人になったってことか。



「俺はただ梢が好きだったんだよ…!」



「えっ」



本当に気づいてなかったんだな…。



「礼は言う。でも、梢のことは譲れない」


「聡先輩…」




「…わかってますよ。でも、二度と泣かせないでください」


「ああ」



もう間違いは繰り返さない。

絶対に大切にする。


「じゃ、俺は部活あるんで」


そう言って、翔平はその場を去っていった。