「さっきの全部、本当ですか…?」


ぎゅっと抱きつく腕が、震えていた。



「うん、本当」


「ライブのとき…大切な人いるって言ってましたよね…」


「え?それは、だから…お前だろ?」



「嘘…!?」


バッと顔を上げた、梢。俺も梢のほうを向いた。




「お前に向かって、歌ったつもりだったんだけど」


どうやら彼女は勘違いしていたようだ。



「私てっきり…」


「だから、俺が話しかけたら逃げたのか」



「はい…」


涙ぐんだ梢が可愛すぎて、俺は気づけば彼女を抱きしめていた。