頑として譲らない翔平。潮時ってやつか。
「ちょっと、翔平!部室戻ってよ!時間もったいないじゃん!って…え?」
裏門の方から、来たのは…
「梢…」
「聡、先輩…」
やっと会えた。少しだけ髪が伸びていた。
あんなに子どもっぽいって思っていたのに、なんだか大人びて見えた。
「梢!戻るぞ!」
そう言って翔平が梢の腕をとった。
「待てよ!」
梢は何がなんだか分かっていないようで、呆然としていた。
「お前のこと散々傷つけて、突き放したくせに、こんなところまで来てごめん」
なんて俺はかっこ悪いんだろう。
「でも、俺は梢のことが好きだ!」
たくさんの人が俺たちを見ていたに違いない。
そんな恥ずかしさとか今はどうだっていい。

