「あ・・・先輩?」
「なんだよ」
嬉しそうに耳あてに手をやりながら、俺のほうに顔を向ける。
幼いけど、たしかに女を感じさせる目に俺は戸惑った。
「・・・観覧車、一緒に乗ってくれませんか?」
「断る」
そんなカップルの代名詞みたいなもん乗れるかよ。
「お願いです!一生のお願いです・・・」
「嫌だ」
「どうしても?」
いや、待てよ。
こいつを突き放すなら、これが最後のチャンスかもしれない。
そうだ、俺はこいつに嫌われなきゃなんねえ。
「・・・しかたねえな」
そう言ったときのあいつの笑顔が今の俺には苦しかった。

