俺はめんどくさくなって、三人に背を向けた。 「ちょっと待ちなさいよっ」 「おい、聡!」 「待ってください!」 俺のコートを掴んだのは、あいつだった。 「なんだよ」 「帰るなら、私が帰ります・・・」 振り向いて見た、あいつの肩は小刻みに震えていた。 ちっさ・・・。 俺より20cmくらい下にある彼女の顔は今にも泣き出しそうだった。 いつも笑顔のあいつの初めて見た表情だった。