「桜ちゃん・・・ごめん」
先輩の一言が効いたのか、巧くんはあたしに頭を下げた。
「あたしこそ、ごめんね。きちんと返事せず、いつも逃げて・・・。あたし、巧くんとは付き合えない」
「・・・うん分かってる。俺、頭冷やしてくるわ。櫂さん止めてくれてありがとうございました」
そう言って、聡の家に戻っていった巧くん。
ごめんなさい、巧くん。
巧くんがあたしのこと本気で好きでいてくれてるのは分かってる。
でも、やっぱりあたしは・・・。
「先輩・・・あの、ありがとうございました」
「あーうん、なんかトイレ行こうとしたら悲鳴が聞こえたからさ」
と照れくさそうに頭に手をやる先輩。
その仕草すらも愛しいと思う。

