「雅、好きって言って」




 「え・・・?」





 波のせいで、小さくしか聞こえなかった榊さんの声。


 「好き」って言ったら、終わる。そう悟った。
 きっと榊さんは答えを、くれるつもりなんでしょ?






 「・・・好きです、榊さんのことが」



 涙は抑えられなかった。だけど、あたしは笑った。
 
 寒そうに、手を温めていた榊さんが、





 濡れた瞳でこちらを見た。

 息が止まりそうになるくらい、綺麗だった。





 「俺の名前、呼んで」