「……」 何も言い返せなかった。 「ハハ。 否定してよ」 ドキ……。 とても静かに胸が鳴った気がした。 私を見て、試すような目で笑う早瀬君。 こういう時、どういう反応すればいいんだろう。 男の人とちゃんとつきあったことも、まともに喋ったことすら無い私に分かるわけがない。 ただ、窺うような目で、早瀬君を見つめることしかできない。 「俺は分かってたよ。 中学校の時から」 「へ?」 早瀬君はふいっと視線を逸らし、本棚の方へ真っ直ぐ向き直る。 「楠原、猫かぶってんなーって」