「てめえまだ疑ってんだろ」

瑞穂はギクリと肩を動かした。


「・・・だって信憑性ないし」

「証拠ならあるぞ、ホラ!」


口之津が見せたのは携帯の受信メール。

そこには確かに『有馬 祥子』の文字。


「えーっ!本当だ・・・。
えっでもこれ、友達のアドレスの名前変えただけとか」

「テメーなあ!!どんだけ疑ってんだ!!」

「ぐぅ!」


口之津はいつものように瑞穂の肩に腕をまわしてそのまま首を締め上げた。

その時だ。


「またアンタは晴子にちょっかい出してー!!」


バシッ!!


「ってーぇ!!」


いつの間にかこちらに気付いていた有馬が思いっきり口之津の頭を叩いた。


「っ何すんだテメー!!
大体俺がいるくせに有明に鼻伸ばしてる祥子がなぁ・・・」

「うっさい!!
変なこと言うんじゃない!」

ドスッ

「ぐあっ」


今度は回し蹴りが口之津の脇腹に命中する。


(ドメスティックバイオレンスだーーー!!)


瑞穂は動くことができずにブルブルとその場に縮こまった。



「ま、待てしょう・・・こ・・・グフッ」

「フンッ」


口之津の静止を聞かずに有馬は教室へと戻ってしまった。

その様子はいつも通りでとても付き合い始めた二人には見えない。

「・・・・・・大丈夫ですか口之津先生」

「やべえ・・・動悸がする」

「えっ!それヤバいんじゃ・・・」

「見ただろ?あの嫉妬。
すげぇ可愛い・・・」

「び、病気だーーー!!
この人すごい病気だーーー!!」