二人の胸にさりげなく光るお揃いのシルバーアクセ。


きっとパッと見ではお揃いだと気付かないものなのに、ペアルックセーターで歩くカップルのようで恥ずかしい。

それでも有馬の気持ちはようやく満たされた気がした。


ずっと引っかかっていた何かがようやくわかった気がした。



不自然な距離を取ったまま駅まで歩く。


こっそり隣を盗み見れば、相変わらずふやけた顔をしていた。
・・・学校では絶対見せないようなゆるい顔。

夏休み、深夜のコンビニで見せたあの顔。


絶対美形なんかじゃないのに、その横顔にボーッと見惚れる。


無意識のその行動に、口之津がこちらを向いてようやく気付いて慌てて目をそらす。




「・・・祥子」

「なに・・・」


恥ずかしさでお互いぎこちない。



なかなか話し出さない口之津を不思議に思い、もう一度顔を上げた。


目が合うと、今度は口之津がそらし、言いづらそうに唇を動かす。


それすらドキドキと心臓を高鳴らせた。




「・・・っい、」


「え・・・?」





どき、どき、どき、どき









「いっ、今から俺んち来るか?!」


・・・・・・・・・。




・・・・・・・・・・・・ハァ・・・。



「行くか馬鹿!!死ねスケベ!!」


「なあっ?!」



イケると思ってたのか驚き大げさに落胆して見せる口之津。

その姿に盛大にため息をついた。



「はぁー・・・」



意外に自分も口之津に対して幻想を抱いていたのかもしれない・・・。



そう感じながらもやはり隣で落ち込む口之津を愛おしく感じてしまう有馬だった。