休み時間、廊下にいた布津と深江がギャーギャー言いながら教室に戻ってきた。


「触ってねえって!」

「触ったもん!」


「・・・どうしたの?」


呆れながらも自然と瑞穂の方へ来るので無視はできずにとりあえず聞く。


「聞いて晴ちゃん、布津君ってば私のおっぱい触った!」

「触ってねえって!!んなこと瑞穂に言うなよ!」


「落ち着いて・・・」


女の子がでかい声で『おっぱい』とか言うものだからクラスが注目する。


「何よ晴ちゃんの前だからっていいカッコして!痴漢!」

「そう言うんなら触ったっていつだよ!」

「さっき!
布津君がバランス崩した時に両手でガシッと!
ちょっと揉んだから確信犯だもん!」

「バッ・・・!そんなんわかるかよ!
揉んでねーし・・・」


さすがにうろたえだす。


「布津、バランス崩したの?」


「ちょっとよろけて・・・
でも胸じゃなかった!
いや、胸だったとしてもわからなかった!」

「ぎゃーーー!!ひどいいぃぃーー!!」

「うわっ、ちょ・・・泣くなよ・・・!
瑞穂助けて・・・」


「いやあ・・・さっきの言葉は救えないわ~」


「そ、そんな・・・だって仕方ないだろぉ~?!
有馬くらいなら触ってもわかるかもしんねーけどさ・・・!」

「うぎゃーーーーぁあん!!更に追い討ちまでぇええーーー!!!」

「な、泣くなってぇ!!瑞穂ぉ~!!」

「完ッ全に布津が悪いわぁ・・・」



「うるさいわよアンタ達・・・」



瑞穂の斜め後ろからやけにテンションの低い声が聞こえた。