「・・・先生、強引」

「いつもこんなわけじゃないよ」

「えー・・・」


納得がいかずに微妙な返事をすると有明は少しだけ不機嫌そうなため息をついた。



「自覚してるかなあ・・・付き合い始めてから瑞穂さんの口からは『布津、布津、布津』。
彼の名前ばっかり。
俺の受信メールは彼の名前で埋め尽くされてるよ」

「え゙っ、ウソッ」


・・・言われて初めて気付いた。


(付き合いたてだってのに何やってんだ私・・・)

今更になって冷静になる。


「で、今日になって『布津君ちに行きたい』でしょう?
俺がいなかったら今頃寝ぼけた布津君に抱きつかれてたのは君だよね。
そもそも瑞穂さんは一回俺で同じ体験をしてノコノコ家にやってきて怖い目見てるわけだけどそれじゃ学習できなかったのかなー・・・」

「ううう・・・」


言い返す言葉もございません。
でも有明先生からここまでキツいこと言われるなんて結構グサグサくる。涙出そう。




「・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」



トーンダウンしまくりの瑞穂に乾いた笑いを浴びせながら有明はトドメを刺した。


「これは俺の勝手な嫉妬だから謝ることないよ」



襲われた時より怖いです、先生。




「・・・先生の嫉妬って怖い。嫉妬ってもっと可愛いもんだと思ってた・・・」

「!」
ドスッ



何気なく発した言葉だったがその言葉もまた有明を突き刺した。