「はあ・・・」


その日の晩、瑞穂は自分のベッドで枕を抱えてずっとこの調子だった。


(布津のことで頭一杯だったのに、今は有明先生のことばっかり考えてる・・・。
ほんとに酷いなあ、私)


そう思いながらもまた図書室でのことを思い出してはポッと頬を染めた。



「晴~、ちょっと手伝ってちょうだい」

「はーい」


母の呼ぶ声に我に返り、部屋を出る。


「あんたも女なんだから家事くらい手伝いなさいよ」

「ふぁ・・・・・・」


母の言うことすらあまり耳に入らずにぼーっとする。


「ふぁ?どうしたのあんた」

「えっ、いや!!なんでもない!うはは」

「うははって、変な子ねー」

「!!」


『変な子』。
親からまで言われてしまった。


「変って何よ、変ってー!!」

「うわっ、今日は一段と変だわ。
どうしたのかしらこの子」



ピンポーン



内容はともあれ親子ワイワイと話す中にインターホンが響く。


「お父さんかしら。早かったわね。晴、ちょっと出てくれる?」

「ふわ~い」

「・・・本当に大丈夫かしら」