有明先生と瑞穂さん

『好き』―――?




「有明先生が、好きです」




ぼろぼろと涙を流して、顔を真っ赤にして、眉を八の字にしてしゃくりあげながら言う彼女の声が理解できない。




だって君は布津君の元に行くと言ったじゃないか。

俺の元を離れて、走って行ってしまったじゃないか。



「どうして・・・・・・?」



ようやく口から出たのはそんな言葉。


違う。
もっと言いたいことはあるのに。





瑞穂の手が遠慮がちに有明のシャツを掴む。



(駄目なのに。そんなことしたら駄目なのに・・・)



また傷つけてしまうかもしれないのに――





「布津君、は・・・・・・」


理性を保つように出した名前。
本当は一番自分が聞きたくない名前。




「・・・きちんと話をしてきました。
怖かったけど、不安だったけど」



「それでも」




「私が一番好きなのは先生だからっ・・・!」



涙をこぼしながら見上げる顔。

ぎゅっとシャツを掴んだままの手。


ずっと君の口から聞きたかった言葉。


何度も、何度も。