有明先生と瑞穂さん

(そうか・・・鞄、そのままだったか)


姿は見えないがそれが瑞穂だとすぐに気づく。


できれば今は会いたくない。
会うべきではない。



この場所ならば姿も見えないと身を潜ませる。


そのまますぐにでも帰ってほしい・・・・・・




しかしその足音は迷うことなく真っ直ぐに有明の元へ近づいてくる。


(やめろ・・・やめてくれ)



コツコツと鳴る確実な足音に、まるで逃げる場所を失ったかのように窓の方を向いてカーテンを握り締め、じっとうつむいていた。









「有明先生・・・」



声の主――瑞穂は息を切らしながら再び有明の前に立った。




(・・・・・・やめてくれ)






今更何も聞きたくないのに。