有明先生と瑞穂さん

***





どれくらいこうしていただろうか。



残された図書室で追えなかった瑞穂の後姿を見送ったまま、有明は呆然とその場に立ち尽くしていた。


10分・・・いや、一時間くらいそうしていたかもしれない。

時間の感覚が全くわからない。



視界が暗い。


(そうか・・・もう、日が沈んでるんだ・・・)



夕日すら出ていない空。

まだつい最近までこの時間は昼間のように明るかったのに、季節の移り変わりを感じさせる。


しかし今の有明にはそんなことはどうでもよかった。



(そうだ、戸締りをしないと・・・)


驚くほどに何も考えられない。


ふらりと窓に向かい、瑞穂が一度確認した窓をもう一度手で確認する。


力の入らない足取りで、気付けば一番奥まで来ていた。




――瑞穂に初めて気持ちを伝えた、その場所まで来ていた。