有明先生と瑞穂さん

今度はゆっくりと扉を閉めて、自分で逃げ道のない空間を作る。


――今まで逃げていたんだ。
どちらも手放したくなくて。




何から話せばいいのかと黙っていると、布津の方からゆっくりと歩み寄って来た。


「とりあえず泣きやめって・・・。
こうやって話すの、久々なんだからさ」


いつもと変わらない笑顔。

布津の笑顔が一番落ち着く。

この笑顔にどれだけ今まで救われてきたか、実感する。


少し乱暴に涙をぬぐう布津の親指が暖かくて、ようやく瑞穂の呼吸も落ち着いた。



「・・・っ・・・、今までっ・・・、嫌な態度取ってごめんね・・・っ」


また溢れそうになる涙をこらえて話すと、声がおかしい程に震える。


それを布津は小さな声で笑った。



布津も、有明先生も

もう今までのようには戻れない。




まだ優しく頬をなでる布津の顔を見上げる。


瑞穂を泣かせないように優しい顔をしているのに、それはどこか強張っていた。


暖かい指先を感じながら瑞穂は

ずっと、ずっと

言いたかった言葉を口にした。








「布津は、私のヒーローなの」