「そうねえ、それじゃあ選んで手伝いましょうか。
有明先生だけじゃ本の場所、わからないでしょう?」

「助かります」


そう言って愛野先生がカウンターを出ようとした時だった。



「あーっ!!愛野先生、本が破けたーーっ!!」


奥の部屋からもう一人の部員の声。


「まあまあ。
仕方ないわね、瑞穂さん、それじゃあ代わりに有明先生のお手伝いお願いできる?」

「ぅぁ・・・・・・はい・・・」


気まずそうに返事する瑞穂を有明は変わらない笑顔で見下ろしていた。




「えっと・・・どういうのがいいですか?」

「そうだね、最近のものではない方がいいけれど・・・夏目漱石とか司馬遼太郎とか、読みやすいものにしようと思ってるんだ。
最近は新装版で出版されてたりテレビで話題になってるから入りやすいかと思って」

「それでしたら・・・こっちです」