有明先生と瑞穂さん

「いーじゃないスかぁ、付き合えばー!」

「キャッ」

「口之津先生!」


いつの間にか近くに来ていた口之津が二人に絡む。


「やだ・・・!聞いてたんですか?!」

「聞かなくても小浜センセーの態度がまるわかりなので馬鹿でもわかります。馬鹿でも。」


遠まわしに有明のことを言いたいらしい。


(仕方ないだろ・・・他なんて目に入ってなかったんだから)


口之津は二人の間に無理矢理割って入り話を続ける。


「有明先生も今フリーなんでしょ?
付き合っちゃえばいいじゃないスかあ~?
俺はこんなん全然無理ッスけど世間一般には小浜先生モテるみたいだしー。
それとも有明先生、こんな顔駄目ッスか?」

「ちょっ、こんなんって・・・!」

「えーっと・・・」


返事に困っているとすぐにカラオケに着き、他の先生達と合流し、話は流れてしまった。


場を逃れられた・・・と思ったのだが相変わらず小浜と口之津で有明の両隣はガッチリ固められる。

それでも無理に歌わされることがないだけマシだと思い、つんざくような奇声を上げて歌う他の教師の歌を何度目かわからないウーロン茶を飲みながらぼんやりと眺めた。



(――正直、他の人のことなんて考える余裕はない・・・)


頭の中はいつだって瑞穂で一杯だった。


(俺はどうしてしまったんだろう)

(今瑞穂さんは何をしてる?)



(ああ、会いたい・・・また君に触れたい・・・)



急に自分の欲求が醜く感じて頭の中のそれを打ち消した。