しばらくすると有明が駐車場にやってきた。

ネクタイをゆるめてボタンをひとつ開けている。

仕事が終わったのだから何気ないリラックスなのだろうが有馬は大はしゃぎだった。


「ちょっ、マジやべーアレ見て晴子!エロいめっちゃエロい」

(・・・細かい・・・)


まだ遠くを歩く有明の首元なんてよく見えず瑞穂は目を細めた。




有馬が当然のように助手席に座るので瑞穂は少しほっとしながら後部座席に座る。


車のにおいが病院に連れて行ってもらった日を思い出す。

3人でいる車の中は有馬のおかげでにぎやかだったが5分としないうちに家につき、すぐに二人きりになってしまった。


車から降りた有馬の「抜け駆けすんなよ!」という眼力が怖い。