「私、正直言って晴ちゃんの気持ち考えてないんだ。
晴ちゃんが布津君を選ぶことが正解とは限らないのに、そうあってほしいと思ってる。

本当は晴ちゃんが決めることってわかってるんだ。

わかってるんだけど・・・

でもごめんね。


私はそれ以外を望めない。

・・・ごめんね」



言葉から伝わる深江の葛藤。
自分でもどうしようもない気持ち。



「謝らないで。結ちゃんは何も悪くないから」

「・・・・・・」

「それに、私」





国見にも有馬にも、本当はまだ黙っていたことがある。




「本当は、私――」





深江が初めて振り向いて目が合う。


公園はやけに静かな気がした。






「本当は、決まってたんだ・・・自分の気持ち」










答えは出てた。

だけど自分のいろんな感情にごまかされて見えなかった。



布津の気持ちを間近で感じた時


気づいてしまったのは自分の気持ち。



だからこそ自分が醜くて嫌になった。

こんな気持ちのまま二人を振りまわして平気だった自分に嫌気がさした。




だから、二人から離れた――





「少し怖いけど・・・」


でも国見さんが言った。
―一番大切なものは何?

有馬さんが言った。
―大丈夫だよ。

結ちゃんが言った。
―少しでも、悔むことのないように。



「だからこのまま逃げるのは終わりにする」




瑞穂は力強い目で深江を真っ直ぐに見つめた。