ずずっ・・・

「やだー・・・なんで晴ちゃんが泣くのー?」

「ご、ごめ・・・」


そう言いながらも深江は振向かない。



「二人を見てると、自分を見てるようで・・・

布津君のこと好きだと思うけど晴ちゃんとくっついてほしいと思ってるんだ。

これっておかしいでしょ?

だから私のはきっと、布津君に彼を重ねてるだけ。

でも晴ちゃんにも自分を重ねちゃってるんだ」




国見は言った。

いつまでたっても悔やんでばかりだと。

ちょっと前の過去ですら悔むのは自分だけではないと。


深江も同じだったのだ。




深江はもう取り戻せない過去を悔む。

だからこそ目の前で繰り返されることを見て見ぬ振りはできなかった。



――好きにはなれなかったことを悔み、再び今度は布津に抱くこの感情は本当に恋愛感情?
――ただ過去と重ねてやり直したいだけ?


深江も後ろめたい気持ちを持っていた。