「実はね・・・・・・」


有馬が言いかけた時、深江が瑞穂の後ろの方を見て声を出した。


「あっ、布津君だ」

「!」


一瞬、瑞穂の顔色が変わる。


「あ、ちょっと私トイレ行ってくる」

「え?」


そのままそそくさとどこかへ立ち去ってしまった。



「おっす」

「おはよー布津」

「おはよう布津君。
・・・晴ちゃんとまだ仲直りしてないの?」

「え?どうしたの?
晴子と喧嘩でもしたの?」

「・・・・・・・・・」


布津は言葉を詰まらせ苦笑した。


何も話さない布津に有馬が口を開きかけた時、担任が教室に入って来て席に着けと促す。



(なんなの・・・?
いい感じなんじゃなかったの?)





後ろの方から見える布津の表情が曇っていた。