「お邪魔しました」


何事もなかったように玄関を出る。


外の暗闇に一人になると、瑞穂の目からはまた涙があふれそうになった。


(泣いちゃ駄目だ・・・)


唇を噛み締めて涙をこらえ、まだ少し痛みの残る足を酷使して家まで走った。






「み、瑞穂・・・!」


瑞穂が玄関から出た瞬間、布津が自分の部屋から飛び出してきた。


(一人で帰らせられるかよ!)


そう思い、玄関まで走ろうとした瞬間、布津の目の前の母親が立ちふさがった。


「うおっ?!」

「ちょっと待ちなさい大介!」

「ちょっ、カーチャン俺今急いでるから後で・・・」

「アンタ晴ちゃんに何かしたんじゃないでしょうね?!」

「・・・・・・うっ?!」


母の怒りの声にまた「なんだなんだ」と父親と弟が出てきた。



「・・・・・・!!
何かしたのね・・・?!」

母親の顔が青ざめる。

「いっ、いやちがっ・・・!!
違わねーけど・・・
やっ、カーチャンが思ってるようなことは」

「晴ちゃん泣いてたわよ?!
あんた女の子に無理矢理・・・」

「うわああああちげーって!!!誤解だ!」

「何だ何だ大介、お前晴ちゃんに・・・
えー、俺菓子折りでも持って謝りに行ったがいいのかな?!」

「うわあーーやめてくれー!!
本当に違うんだって!!」

「・・・にーちゃん、不潔ー・・・」

「・・・・・・・・・!!!!

だ、だから違わないけど・・・

誤解なんだってばーーー!!!!」