有明は車を降りてマンションの入り口まで付き添ってくれた。


「こ、ここで大丈夫です。」

「うん、今日は瑞穂さんと話せてよかった」

「・・・・・・」


病院に着くまでは話題に出さなかったのに、有明は何かがふっきれたように昨日のことに触れる。

彼はサラリと簡単に発言するが聞かされる瑞穂はたまったものではない。


(有明先生には悪いけど耐えられないから早く切り上げて逃げよう!)


そう考えるとすぐに

「それじゃあありがとうございました!」

と大げさに頭を下げて立ち去ろうとした。



と、頭を上げた時目の前に予想以上の近さまで有明が近づいていた。


「・・・ゎ・・・!」

(顔近っ!)


反射的にのけぞると有明は優しくおでこを撫でた。


手はサラリと前髪をかきあげる。


「お大事にね」


低い声で優しげに微笑む。

離れた位置から聞くそれより耳元で聞く声はなぜか全身にいきわたり力が抜けて崩れ落ちそうになる。


瑞穂は自分で顔が真っ赤になるのがわかった。