有明先生と瑞穂さん

「カラオケ行くー?」

「えー・・・二人で?歌わなきゃじゃん」

「当たり前だろ、カラオケなんだから・・・何言ってんだよ」


冷めた目で瑞穂を見下ろす。
カラオケは嫌いなんだから仕方ない。
何で人前で歌わなきゃならんのだ。


「布津は元カノとどこにデート行ったの?」

「遊園地だったかなー。
その後プリクラ撮ってメシ食って帰った」

「おおー、デートっぽいね。
じゃあ遊園地行く?
後はデートっぽいのって何があるかな・・・。
動物園とか・・・だめだ、浮かばない」


二人して悩む。

女同士だったらどこかで喋ってるだけで一日が終わってしまうのに、勝手が違う。

せめて用事があればよかったのだが・・・。



悩む瑞穂にぽつりと布津が言う。


「ここはちっとばかし大人っぽく、映画でも見るか」


目の前には映画館。


(別に映画って大人っぽくもなんともないような気がするんだけど・・・)


あんまり布津らしくない気もする。

それでも特に他には浮かばないし、滅多に映画なんか見ないしいいかもしれない。



そうして二人映画館へ入って行った。




でっかいポップコーンと飲み物片手に後ろの方の椅子に座る。

あまり人がいないのは、特に話題の映画がないからか。


あれだけ食べたのによく食べるものだ、と呆れて隣の布津を見た。