有明先生と瑞穂さん

「お前らも今からメシ?」

「やー、もう帰るとこ。
つか彼女いたんだ?!知らなかった」


そう言われて布津は否定することもなく赤くなりながら口を緩ませてエヘヘと笑った。


(いや・・・違うでしょ)


面倒なので言わない。

友人達は布津と話しながらも物珍しげに笑いながらチラチラとこちらを見てきて、少し不愉快だった。


それに気づかないのか布津は楽しそうに友人と話す。


「ジュース取ってくる」


息苦しくなった瑞穂は席を立った。


ドリンクバーから席を見ると楽しそうに話す布津を、つくづく別世界の人間のように思う。


昔からそうだった――・・・



布津はみんなの中心にいた。

誰からも慕われて、明るくて。

最初は自分と仲良くしてくれるのも、大衆のうちの一人だと思ってた。

真っ直ぐで正直で、とても綺麗。



(きっとあの友達も悪気があってチラチラ見てたわけじゃないんだよなあ・・・)


布津を見ていると自分の汚さに落ち込む。


悪気がないものを不快に感じない。

それが布津だ。


だからこそ私が一人になった時も信じてくれたんだ。