「でっ、デート!?」

つい大声を出してしまうと有明先生はそれを見て笑った。


「うん、そう。デート」


あっけらかんと言う有明先生とは対照的に慌てふためく瑞穂。

瑞穂は今まで一度もデートなんてモノをしたことがないのだ。


「デートだなんてそんな先生あわわわわわわ!」

「あはは、デートなんて言ってもただ買い物に付き合ってもらうだけだよ。
言い方が悪かったね。ごめんね」

「かっ、買い物ですか・・・」


買い物ね、買い物!と自分自身を落ち着かせる。
することは同じなのに言葉一つでこうも違うものになってしまうのかと関心した。


「何を買うんですか?」

「月曜までには必要だから眼鏡を買おうかなって」

「あっ・・・」

瞬時にして自分の貯金額を思い出す。
裸眼で視力のいい瑞穂は眼鏡なんて買ったことがないのでいくらくらいするものなのかわからない。

そんな考えを知ってか知らずか有明先生は言った。


「弁償なんてしなくていいって言ったでしょ。
だからその代わり、眼鏡買うのに付き合ってね」

「は・・・はあ・・・」

うまく丸め込まれたような気がする。
そんなことでいいのだろうか。