広いとはいえない図書室はもう誰かが先に来ていてカーテンと窓が開けられ、さわやかな風が流れ込む。

瑞穂は図書室のにおいが少し好き。


先ほど受け取った辞書を片手にカードを探し、返却のチェックを入れて辞書を元に戻す。


辞書なんてこうして忘れた人間しか借りないからか、入り口から一番遠くのすみっこの場所に置かれている。

少し暗くてしめっていてあまり好きな場所ではない。

あまり利用者もないのできちんと並べられた中に辞書をしまっているとふと色の違った辞書が目にとまった。