有明先生と瑞穂さん

もう片方の手もゆっくりと開放される。

先生を見るとその手を顔に当てて苦しそうな表情をしていた。


「・・・卑怯だ」


そのまま重たそうに体を起こしてその場に座り込み、ぐったりと頭をもたげた。


「先生・・・」


瑞穂も体を起こして必死に涙をぬぐった。

先生がどんな顔をしているのか気になってゆっくり覗き込もうとすると先生が口を開いた。


「瑞穂さんがそんなこと言うと諦められないよ」

「あきらめ、る・・・?」

「いっそ俺を嫌いになって突き放してよ」

何を言い出すのだろうとただ黙っているしかできなかった。


「そういう誰にでも思わせぶりな態度はきっといつか痛い目を見る」

皮肉まじりな忠告。
でもさっきまでとは違う。

「先生・・・顔、上げてよ」

まだ自分の声がかすれてる。

先生はその声に従いゆっくり顔を上げた。

その顔はまるで叱られた犬のようで幼く見えた気がした。