有明先生と瑞穂さん

「君はそんな子だったっけ」

軽い女だと言いたげに皮肉を込めて言う。

そんな冷たい言葉にズキリと心が痛い。

また泣いてしまいそうだ。


「私がどういう人間かは先生が知ってるでしょう?」

声が震える。
それでも瑞穂は続けた。

「私は臆病です」

あの日の廊下で言った言葉。


誰からも好かれるなんてこと望んでいるわけじゃない。
そんな非現実な理想は存在しないことはわかってる。
いつか壊れてしまう関係だってある。
だからこんなのはその場しのぎの馬鹿な考えだ。

だけど・・・


「私は先生に嫌われたくない・・・」

最後の方は消えるような声で訴える。


そのためなら何をされてもいいのか。
本当に馬鹿だ・・・。

堪えきれない涙が溢れる。


「今までの優しい先生が嘘でもいいから・・・」


――臆病だ。

布津も有馬も深江も、そして先生と加津佐も


誰か一人でも離れていくのは嫌だなんて充分馬鹿な考えだ。