有明先生と瑞穂さん

有明先生は瑞穂の頬に当てた手をそのまま首へと滑らせた。


力の入った瑞穂の体がビクリと跳ねる。


「ひ・・・っ!」


反射的に手を突っぱねるとその手が先生の顔に当たり、眼鏡が床へ落ちた。


「ごっ・・・!ごめんなさい・・・!」


思わず謝ってしまうのも怯えているからか――。



眼鏡を目で追って一瞬顔を上げた時に見えた先生の表情は少しも揺らぐことなく冷たい目をしたままだった。



(本当に先生はこんな人だった・・・?)

(今まで私に言ったことや優しかった態度は嘘?)

(すぐに他の女の人に気持ちを移せる人だったの?)



今目で見ているものが全てなのにそれでもどこかで信じている自分がいる。

だってそんな冷たい表情を見ても少しだけ安心してしまった自分がいる。


騙された――
裏切られた――
悔しい――


そんな気持ちがあるのに


悲しい




まだ信じてる自分が





虚しい・・・・