(有明・・・?)

布津は有明が見せた表情にも引っかかっていた。

(俺を・・・睨んでた・・・?)

今まで有明に感じた違和感はこれだけではない。


(そうだ、保健室でも何かおかしいと思ってたんだ…)


何かが引っかかる――。




「布津ももう帰るよね?」

瑞穂の言葉にはっとする。

「おう」

「じゃあ待ってるよ」

何気ないその言葉に舞い上がってしまい、さっきの疑問は簡単に消し飛ぶ。




二人で帰るのは久しぶりだ。

お互い友達がいたり部活があったりして二人で帰ることはあまりなかった。


布津は、実は深江とは付き合っていなくて、それが作戦だったことや有馬も相談に乗ってくれてたことなどを全部話して謝ってくれた。

瑞穂は全然知らなかったのは自分だけだったのかと自分自身に呆れた。





布津は最後まで告白の返事は聞かなかった。