皆で旅行――楽しそうだ。

今まで気にもとめなかった夏休みが途端に楽しみになりワクワクしてきた。

こんな気持ちは初めてだ。


「でもなぁ…誰か企画してくれないかなー…」

「あら、瑞穂さん貴女が企画すればいいじゃない?」

瑞穂の独り言を聞いて愛野先生が言う。

「えっ私が?!」

「ふふ、瑞穂さんはいつも待ってばかりですものね。
たまには自分から動いてみるのもいいものよ?」

「えぇーでも…断られたら怖いし…」

そういう瑞穂に身を屈めて目線を合わせ、優しい口調で愛野先生は言った。


「誘うことって、皆誰でも怖いものよ。
断られるとこっそり気持ちが傷つくのはみんな同じ。
それでも誘うのって、そんなリスクを背負ってまで遊びたいと思うからじゃない?

貴女は遊びに誘われたことはある?

きっと貴女にも都合があるから、断ったこともあると思うわ。

その時相手はきっとこっそりちょっぴり傷ついちゃうの。
でもこれは仕方ないことなの。

それでも次に何かあれば貴女を誘うわ。

なぜだと思う?

傷つくかもしれなくても、それだけ貴女と遊びたい、一緒にいたいと思うからなの。」