有明先生と瑞穂さん

(結局話し掛けられなかった・・・)


周りは部活や帰宅でだんだん人が教室から減っていく。

ギャル有馬は帰宅前に化粧を直していた。

一日中有馬を見ていたが彼女はもう数十回は化粧を直していたのではないだろうか。


(どんだけ塗るんだ・・・)


放課後は遊びに行くからか、念入りである。


(あほらし・・・帰ろう)


席を立とうとしたその時、有馬の大きくて高い声が響く。


「有明先生!」


瑞穂は気づかなかったが教室の前を通ったらしい。


(これはチャンス!)


さっきまで椅子にあぐらをかいて化粧していた有馬はぶりぶりと腰をふって有明の元へ駆け出した。


「今日は何時にお仕事終わるの?!」

(きたーっ!)