「瑞穂さん…?」


声をかけられてはっとする。

(うわ、一人で考え事しちゃってた!)

隣にいる人間をそっちのけとは失礼な。


「ご、ごめんなさい!」

「何考えてたの?」

瑞穂は黙ってうつむく。

(ああもう、ひとりで考えてたってだめだ。

先生の気持ちが見えそうで、

全然見えない――)


なぜ?
どうして?

思うことはたくさんあるのにどうしてそれを自分は聞けないのか。




「…瑞穂さん?」


勢いよく振り向き、瑞穂は有明先生の目を見た。