いつもと変わらない時間をただぼーっとすごしていると、昨日のことが嘘だったような気がしてきた。


それでも確かにこの手には昨日の感触が残っている。


黒板に書きながら説明する先生の声そのままに言われた言葉を思い出す。


（余裕な大人め･･･。なんだか悔しい）


授業なんて全く耳に入らない。

周りの生徒は必死にノートをうつしているのに瑞穂のノートは真っ白なままだった。


授業に身が入らないときは余計なことばかり考えてしまうものである。


（でも何で有明先生は私のことなんかを･･･）