有明先生と瑞穂さん

帰りの道のりは長かったがたわいもない話をしていればすぐだった。

来た時とは空も暗くなり街は光をともして違う雰囲気を見せている。


マンションに着くと有明先生は眠っていた加津佐を起こし、支えながら歩く。

瑞穂もまた扉を開けたり荷物を持ったりと手伝った。

有明先生の部屋に着くと加津佐をベッドに寝かせ「あーっ、重かった!」とため息をついた。


当たり前のように自分の部屋に加津佐を入れる有明先生がなんだかおかしくて、つい瑞穂は口元が緩む。


「お疲れ様でした。
それと、今日はご馳走様でした。あのお店すごくよかったです。
それじゃ、私も失礼しますね」

部屋を出ようとした瑞穂を有明先生が引き止める。

「あ、ちょっと待って」

「?」

「荷物、まだトランクだったよね」

「あっ」

もうすっかり荷物のことを忘れていた。

また1階まで降りて駐車場へ向かわなければいけない。

「すっ、すみません!」

疲れているのに手間を取らせてしまったと瑞穂は焦る。

「いや、いいんだけど…」


言いかけて有明先生はチラッと部屋の時計を見た。