有明先生と瑞穂さん

荷物をトランクにうつすと、後部座席に加津佐を詰め込んだ。

加津佐はふにゃふにゃ言いながらすぐに座席に横になった。


「加津佐さんってお酒結構弱いんですね」

そういうと有明先生は手で首を揉みながらふっと小さくため息をついた。

「いつもはそうでもないんだけどね。最近仕事でストレスが溜まってたみたいなんだ」

「ストレス…ですか」

働いたことのない瑞穂は【仕事】という言葉を聞いて想像をする。

ふざけたところばかり見ているけれどきっと、有明先生にも学校とプライベートの顔があるように加津佐にも多かれ少なかれそういうことがあるのだ。

そうして働いていく中で、どんなにあっけらかんとした性格でもこうしてストレスが溜まる。

「大人って大変ですね」

こういう何気ない生活での差に、高校生の自分と社会人の大人の壁を感じる。


「高校生もストレス溜まることあるでしょ」


瑞穂の思ってることを気づいているのかいないのか、有明先生はそんな自分を平等に見てくれる。


「…でも、自分はまだ働いたことないから…考えが甘いところがあるんだと思います」


言った後に、自分は何を口にしてるんだと思ったが有明先生は優しく笑う。

「それは誰でも社会に出てみないとわからないんだから仕方がないんだよ」