「瑞穂さん、今から部活ですか?」

「有明先生」


ネクタイを締めてフチなし薄い眼鏡、パーマのかかった茶髪の前髪が眠たそうなタレ目にかかった彼は『有明先生』・・・確か23歳。


瑞穂は大体そう認識している、国語教師である。




「そっか、だったらコレ返しといてくれませんか」

「自分で返しに来てくださいよ。
貸しカードがあるんだから先生がそんなんじゃ示しつかないでしょ」

「まあそう固いこと言わずに」

真面目そうな顔して結構ルーズ彼はニコニコと笑いながら分厚い本を瑞穂へと渡す。


「ていうか何ですかコレ、辞書?」

「うん、僕自分の辞書なくしちゃって」

「・・・・・・」

なかなかだらしない教師である。