有明先生と瑞穂さん

(最悪だ…!)


有明はその冷静な性格からはめったに見せない程焦っていた。


どこをどちらに曲がって走っていったかすらわからない瑞穂を手当たり次第全力で走って探す。


有明の頭には数日前の瑞穂との会話が思い出されていた。



『俺、女子高生が好きなわけじゃないからね…』


『すみません、ちょっと疑ってました』



有明は瑞穂に対して今まで慎重だった。

瑞穂自体が警戒心が強いこともあるが、大人からいきなり告白されて信用できるものではない。



有明にとって瑞穂はそれだけ大切にしたい存在だった。


そういう気持ちをまだ瑞穂は知らないけれど、嫌われてハイ終わりなんてできる程簡単な気持ちではなかった。



まだ瑞穂の中では有明は軽い男なのでは…?という疑いが残ってるのはわかっていた。



だからこそコレは、ヤバイ!!


このままでは女子高生なら誰にでも手を出してると思われてしまう。


いつも冷静な有明の今の頭の中には瑞穂を信用させる方法なんて浮かばなかったが、とにかく走った。