いやあ、突然そんなこと

恥ずかしいですよー。

心の準備をさせてください。




なんて苦しい言い訳をして瑞穂はなんとかその場を切り抜けた。


有明は何か言いたげな、不満そうな顔をしていたが気づかないフリをした。




(うわー・・・私最悪かもしんない・・・)



今日の事件なんてすでに頭にない。

数日、まわりから噂をされひどい目にあい、こんな事件になって会議になって小浜とも決着がついた。

とても濃い一日だったのに瑞穂はそれどころではなかった。


(君の名は・・・)



一人ぼっちの帰り道、薄暗い空に物思いに問いかけてみるがわかるはずもなく。



「はぁ~~・・・」



瑞穂は盛大に溜息をついた。






***



瑞穂も既に帰り教師も半数ほど帰宅した学校で、小浜もようやく帰宅しようと教師専用の玄関から靴を履き替えて外に出た。


打ちのめされた小浜は何もやる気が起きず、その日の残り僅かな簡単な業務にも時間を要した。

有明に対する恋心。
瑞穂に対する怒り。

どの感情が残っているのかすらもうわからない。

やつれた顔で門をくぐると見知った人物が立っていた。


「ハーイ♪小浜チャン。ご機嫌いかが?」

「・・・・・・」


ある意味瑞穂と変わらないほどに憎らしい。

瑞穂と違い凛としていて美しい国見がそこにいた。