有明先生と瑞穂さん

自分のことなんか知らないと思っていた。


誰も私を知らない。

有明先生も、私を知らない。


私を見て――

私を見て―――?


本当はずっとそう訴えたかった。

でもどうすればいいかわからなかった。

自分を信じてあげられなかった。


自分にいいところなんてひとつもない。そう思ってた。






全てが救われたような気がした。









***



瑞穂が図書室へ向かっていると、人気のない薄暗い階段の踊り場で一人小浜がしゃがみこんでいた。

瑞穂は一瞬驚いたが、強い気持ちで近づく。


自分に気づいた小浜は無表情のまま、すっと立ち上がった。



「・・・まだ何か用ですか?」


小浜をキッと睨みつければ、馬鹿にしたように笑いだした。


「フフフフッ・・・ははっ・・・アハハハッ」