小浜はこの時を狙っていたのだ。
本来付き合っているのが瑞穂でも、人前で正直に言えないのをいいことに自分がその場に立つつもりだったのだ。
そうして瑞穂を上から見下ろし、突き落とす――。
それを狙っていたのだ。
「小浜先生!!」
「待て晴っ!」
怒り叫ぶ瑞穂を口之津が抑える。
「あの女は腹立つかもしんねーけど今は晴の潔白を証明するにはそれしかねぇんだ。耐えろ!」
瑞穂の耳元で口之津が小さな声で言う。
それでもこのままだと小浜の思惑通りになってしまう。
嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!
「アイツはオマエのことは嫌いかもしんねーけど、有明のことは気に入ってるみたいだから悪いようにはしねぇさ」
違う!そうじゃない!!
それでも何も知らない口之津に、それを言うことはできなかった。
口之津に押さえられた腕のように、自分は今なにもできることがない。
――悔しい・・・!
