有明先生と瑞穂さん

「違うっ!違うんです!」

「晴、落ち着け!」


動転する瑞穂を口之津がなだめる。

有明は顔を向けることすらしなかった。

――いや、できなかった。


瑞穂が否定するだけで噂は信憑性を増してしまう。
有明が瑞穂に対して何かしようものなからそれは余計に悪い方向へ行くばかりだ。






「僕は瑞穂さんや他の生徒に特別な感情を抱いたことは、一切ありません。
今までも・・・きっとこれからも同じです。
この学校のただの生徒の一人でしかありえません」



「――――――!」





有明の言葉に、瑞穂だけでなく一同が静まり返った。



いつも優しく笑う有明からは想像もできない程冷たい言葉――それにみんな驚いているのだ。


女子生徒までもが青ざめる。



「う、うそ・・・うそよ・・・」


「貴女は、僕が彼女と付き合っている方が都合がよかったのですか?」

「え・・・・・・」


有明に問われて女子生徒は本来の気持ちを思い出したのか、ハッとした顔をして黙ってしまった。




「ううっ」

部屋の隅では有馬までダメージをくらっている。
それを深江と布津は苦笑して見ていた。




(・・・・・・・・・)



――私の、ため。



何よりも有明の気持ちがわかっているはずなのに、瑞穂はどうしてかやはり心が痛い。


ズキズキと痛い。



(おかしいな・・・)



こんな状況で、何と言ってほしかったのだろう。


付き合ってますと。
瑞穂さんが好きですと。

言ってほしかったというのか――。




「有明先生、もう少し生徒達のことを考えて配慮した言葉を・・・」

「すみません、つい」


さすがの教頭も有明の言葉には面食らったらしい。