「おはよ!」

何事もなかったように元気に挨拶をして教室に入ってきた瑞穂を見て、有馬達はほっと胸を撫で下ろした。

その笑顔はどこかすがすがしくて、一日休んだことは意味があったことを思わせる。

「晴子!よかった・・・ウチの言ったこと気にしたのかと思ったよ」

「有馬さん・・・。私の方こそごめんね」

駆け寄った有馬の背中に深江が飛びつき瑞穂の顔を覗き込む。

「昨日晴ちゃんいなかったから結つまんなかったよぉ~!
有馬さんずっとションボリしてたんだからぁ~」

「ちょっと深江!余計なこと言うなっ!」

「あはははっ」


こんな風に自分を思ってくれることが嬉しい。

後から来た布津が笑いながら瑞穂の頭を乱暴に撫でた。



「あっあの!有馬さん!」


意を決したように瑞穂が声をあげると、有馬だけでなく深江までもが動きを止めてキョトンとした顔をした。


「この間の話・・・」

「あっ・・・ちょっと、今じゃなくてもいいよ!あとでゆっくりでも・・・」

「ううん、結ちゃんにも聞いてほしいから」

「えっ結?」

有馬と深江は顔を見合わせた。


「有馬さん達が気づいてるように私は今二人に隠し事してる・・・。
本当はそれがずっと後ろめたくて、私のこと考えてくれてるのに黙ってるのはよくないって思ってたんだ」

「おい瑞穂・・・」

話を止めようとする布津を制して瑞穂は話す。


「もう言ってしまおうかと思った。
その方が罪悪感からも逃れられるし、楽になるから・・・。

でもね、それじゃ駄目だと思ったんだ。
何の解決にもならないって。

いつか・・・
いつかは言わなきゃいけないけど、それは今じゃないんだ。

お願い、二人とも。

私が隠してることって二人にとってもいいことじゃないけど、今はまだ何も聞かないで・・・」