「ひとことで言えば、気に入ったものは人のモノであれ何であれ、手に入れないと気が済まない子。
そのためなら汚い手だってなんだって使う子」

「・・・・・・うへえ。
つかさ、リサがそこまで人のこと言うって珍しくない?
そもそも他人にそこまで興味持たないっしょ」

「興味ない私にすら話は耳に入ってくるほど女の間では有名な子なのよ。
それでも不思議なものでね、これだけ有名でも男って気づかないものなの。
例えば誰かがそれを必死に訴えたとして、聞いた人間はただの悪口としか聞かないわ。
外見があんなにイイ子カワイイ子だったら特に・・・異性なんてそんなモノでしょう?」

「返す言葉もねーな」

加津佐の言葉に苦笑する。

「アタシも瑞穂チャンも、そういう女のゴタゴタって嫌いなのよね。
・・・本当は、好きな子なんていないのかもしれないけど。
アタシはそういうのうまく逃げてきたけど、瑞穂チャンは孤立するのを怖がるから難しいのかもしれない・・・」

「孤立するのを怖がるのが普通だよ」

「えっ、それタケルが言う~?!」


国見や加津佐のように自分の信じるものだけを信じて、好きなように生きていける人間ばかりだったらどれだけよかっただろう――。



「小浜って子のすごいところは観察力。
その子がどういう子か些細な行動から見抜いて追い詰める。

直接悪口を言われたらすぐに言いふらしちゃうような子相手だったら、善良な子ぶってまわりを味方につける。

瑞穂チャンみたいな、人目を気にして小浜から何されても悪事を人に訴えることができない子相手ならとことん影から追い詰める――。

どんな手段を使うにせよ、計算高くて自身を守るために集団でうわべだけでつるんでるようなあの小浜って子は、瑞穂チャンにとって一番苦手な人間のはずよ」


「ふむ・・・・・・」



――やっぱり女のゴタゴタは苦手だ・・・。


話を聞いただけでも近づきたくない物件だ、と加津佐は背筋を凍らせた。