近頃、瑞穂さんの様子がおかしい。


校内では今までより意識するようになって、話さないどころか避けるようになった。


ばったり会っても走って逃げてしまう。


いつも通り遊びに来るのに、外に出掛けることを拒む。


生徒に会いにくい場所と言っても無理だし、夜に近くのコンビニに行くことすら嫌がる。


それでもメールや会った時は普通なのに


どうしてか



元気がない・・・。



「そっか?気のせいじゃねーの?」


加津佐はよくわからないと言う。




自分から問い詰めることもできたけど、それはしなかった。



――少しだけ引っかかっていることがある。











午後の授業も終わり、職員室に戻った有明は大きく背伸びをして席に着いた。


(今日は当直か・・・)


今日はなんだか疲れが溜まっている。
早々に帰宅する教師が羨ましい。

授業の前に机に広げたままだった名簿や資料を片付けていると、戸棚のガラスに写った自分の顔を見て少しやつれていると感じた。


机の上には明日までに終わらせなければいけない仕事が溜まっている。


(だめだ・・・このままじゃ持たない。少し休憩しよう)


有明は職員室を後にした。



当直の仮眠を取る場合は本来ならば給湯室で取らなければいけないのだが、暗く狭い給湯室よりは・・・と有明はよく保健室のベッドを利用させてもらっていた。

この日も真っ直ぐに保健室へ向かう。


「失礼します。ベッド開いてますか?」

「あら、有明先生。ごめんなさいね。今日は全部埋まってるの」

「そうですか・・・」


有明が残念そうな顔をすると保険医が笑う。


「本当は保健室のベッドを仮眠に使っちゃ駄目なんですからね~」

「ははは、すみません」


放課後でもベッドが埋まることがあるのか、と渋々保健室を後にする。


(給湯室の布団は古くて薄すぎるから体が痛いんだよな・・・)